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FANTANIMA! 2023は終了しました。 どうもありがとうございました。FANTANIMA!2024東京展は2024年4月25日から4月30日に丸善丸の内本店ギャラリーで開催予定です。またお会いできるのを楽しみにしています。

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FANATNIMA!は生き物の姿を自由に造形、創作した作品をご紹介する展示会として、2013年に第1回を開催しました。2023年は11回目の開催となります。
当初より国内の作家作品とともに、ロシアの関係者の協力を得て海外の作家のユニークな動物作品を紹介してきました。これによりロシアだけでなく、ウクライナ、エストニア、ラトヴィア、ベラルーシなど幅広く、多くの作家の作品を日本で初めてご紹介することができ、お客様にも喜んでいただいています。2020年、21年のコロナ危機時においても各国の出品作家たちと励ましあい、希望を失わず工夫してなんとか開催を続けてきました。

しかし2022年2月24日に始まったロシアのウクライナへの侵攻は、作家たちのあいだに断絶と苦痛をもたらしました。当初はロシア人と政府は別だと寛容にとらえていたウクライナ人もいますが、国土を荒廃し生活を脅かされる強いストレスのなかで、誰もがロシア人に対して激しい憎悪を抱くようになっています。その強い憎悪は今の非人道的な窮状を生き延びる力を得るために必要なのだ、とある作家が私に説明してくれました。

ノーベル賞やオリンピックのような国際的なイベントからロシアとベラルーシ二国の参加を排除すべきという世論は欧米諸国の主流になってきています。ヨーロッパの人形イベントでは二国の参加は難しいでしょう。
FANTANIMA!としては昨年2月以降、平和と戦争反対の方針を明確にし、これに同意する作家は国籍を問わず受け入れています。ロシアやベラルーシの作家達がいかに心を痛めていたか、何人もの作家が私へのメールでその辛さを綴っていました。そのいくつかは、公式ブログでもご紹介させていただきました。

各国の作家に対して本年開催の呼びかけをどうするか、戦況が激化するなかで悩みました。そしてFANTANIMA!に政治的解釈をもちこみたくないと思い、作品の世界だけでの連帯をしようと呼びかけました。
これに対してウクライナの作家から抗議がありました。その反応は想像しうるものでした。彼女の撤退は辛いものでしたが、この作家の決断を尊重し受け入れました。FANTANIMA!を大好きだと言ってくれていた本人にとっても容易な決断ではありませんでした。そのほか、3人の方と同様のやりとりがありました。

私が不参加を表明する作家へ送った返答はこのようなものでした。

・FANTANIMA!が二国の作家を排除することはロシア政権と同じ弾圧をすることになり、紛争の解決の助けになりません。
・日本は戦争を通して、加害者の立場も被害者の立場も言論弾圧の恐ろしさも経験しました。日本人はそれぞれの立場の人の気持ちを想像できます。空襲や原爆で多大な犠牲をもって終わった戦争の後、それでも異国との分断が修復し、人々の交流が復活できたのは、芸術や文化が大きな役割を果たしたからだと思います。
・この日本でだからこそ、FANTANIMA!はささやかでも作り手たちの聖域としてありたいと思います。

今は理解してもらえなくても、この気持ちだけは伝えたいと思いました。
この複雑な状況のなかで、本年はFANTANIMA!にロシアとウクライナ、それぞれ祖国を離れて参加することを選んだ作家たちもいます。

ファニマたちが生まれた国は、ワンダーランド。
彼らは作家達のわくわくキラキラ光る想像力から生まれます。
あたたかい眼差しと手のぬくもりのなかで、たくさんの愛を受けて生まれてきたのです。
彼らはジョンとヨーコの’imagine’のような世界の住人だと思います。

imagine…

遠くの空の下にいる誰かのことを想います。
恐怖や不安のない平和な日々への祈りとともに

FANTANIMA!主催者
羽関チエコ

参考 本年の参加国(アルファベット順)
ベラルーシ(5)、チェコ(1)、エストニア(6)、ジョージア(4)、ドイツ(1)、イスラエル(1)、イタリア(1)、日本(38)、カザフスタン(2)、ポーランド(1)、ロシア(27)、スペイン(1)、セルビア(1)、ウクライナ(5)

特別な出品作 スリズ・タチアナさんの「シャフカ」について

今年のFANTANIMA!オールスターズは、スリズさんが作った「シャフカ」を囲んでいます。
このシャフカは、実際に爆撃を受けたボロディアンカのアパートで奇跡的に完全な状態で残ったカップボード(ウクライナ語でシャフカ)をモデルにしています。(アパートの住人は出かけていて無事だったそうです。)
キーウ近郊に住むスリズさんにとって侵攻後の日々は連日の砲撃の恐怖、山間部での避難生活、帰宅してから分かった癌の手術中に停電するなど(非常用電源で手術は継続、現在は治療中)、今もロシアからの攻撃に脅かされるという、侵攻前とかけはなれた毎日を送っています。

ボロディアンカのシャフカは、そんなスリズさんにとって希望の象徴となり、ご本人にとっても忍耐と回復を信じて、このシャフカが作られました。
FANTANIMA!も、戦争の終結、ウクライナの再生を見守りたいと思います。

Suliz Tatiana
Shafka in Borodyanka
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