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Wonder For PEACE

本年の会場美術テーマは「wonder」
wonderはwonderful、wonderlandにつながる言葉。
2020年のコロナ渦からの不安定な世のなかで目の前の謎や難題に挑む力、奇跡を信じる心を思ってこの言葉をテーマにしました。

2022年のマスコット ワンダーファニマ(青の羊作)

FANTANIMA!は今年で10回目を迎えます。
幻想と生命、FANTASY とANIMAを掛け合わせた造語で、アーティスト達が自由に作り出す生命のかたちを集めた展覧会がFANTANIMA!(ファンタニマ)です。

今はたくさんのお客様が毎年の開催を楽しみにしてくださる展覧会に育ちました。
FANTANIMA!の企画を思いついたのは、ロシアやウクライナ方面の作家が作っていた面白く可愛い、不思議な作品たちに刺激されたからです。
一番大きな魅力は表現の「自由さ」でした。
布や粘土のような身近な素材から生き物のかたちをベースにして生まれた作品には遊び心がはじけていて、さらにアート、愛おしさを感じさせるものばかりでした。

そうやって、海外の作家と日本の作家であわせて100名を超える作家の作品をご紹介してきたのが、FANTANIMA!です。

この2年間はコロナウィルスの影響で海外の作家が来日できないうえに輸送にも影響を受けましたが、その困難を乗り越えて迎えた10年目にして、さらに世界的な非常事態に局面しました。

海外の作家には2月中には発送をお願いしているので、制作の仕上げに追われる作家たちからの相談のやりとりをしている頃にウクライナ国境にロシア軍が集まってきているという不穏なニュースが流れました。そして20日を過ぎる頃から輸送に影響が出始めたことを知り、作家たちにできるだけ発送を急ぐお願いをしました。そして現実とは思えないロシア軍の侵攻が24日に始まってしまいました。

突然、砲撃や生命の危機に接する状況に陥ったウクライナの作家たちからは、FANTANIMA!への出品ができそうもないという悲痛な連絡が届くようになり、それはすぐに連日の安否確認のやりとりに変わってしまいました。

つい一週間前まではあたたかな部屋で制作をしたり、美しい画像を撮影していたのに、寒くて暗い地下室やシェルターで恐れと疲れ、怒り、悲しさといった暗い日々を送らなければならなくなったウクライナの作家たちを思うと、日本からも何かできないかと気を揉む毎日となりました。
FANTANIMA!と同じ時期にドイツでテディベア・トータルを主催しているセバスチャン・マークァード氏はもっと事情を知っているだろうと連絡をとると、彼は既にウクライナの作家のために奔走し始めたところでした。連絡をした次の日には募金サイト「The Doll and Teddybear World for Ukraine」を立ち上げていました。FANTANIMA!もこの募金活動に協力し、FATNANIMA!の作家たちをはじめ、ウクライナの作家たちに支援が届けられるようになりました。

ウクライナの作家が発送できなくなった一方で、ロシアの作家たちには経済制裁、情報統制で国際社会から排除されることへの不安を感じていました。

FANTANIMA!として、すべての作家に「No Border, FANTANIMA! for PEACE」の方針を伝えました。

誰も、作品を作る時に攻撃的な気持ちをもって作る人はいません。作家の手のなかから生命を思って育まれた、それぞれの愛おしい形。その愛おしさだけを共通語として、私達は支え合うことができるはずだと思います。
日本の作家の皆さまにもその方針を伝えました。

理不尽な戦争によって出品が妨げられたウクライナの作家たちにはどんなに遅れても作品は待ち続け、会場が変わっても「FANTANIMA! for PEACE」のプロジェクトとしてなんらかの形で展示をすると伝えました。それを支えに作品を仕上げる決意をしてくれたウクライナの作家がいます。
FANTANIMA!を「傷ついた心を癒やす美しい島、私達にはこの島が必要です」と言ってくれたロシアの作家がいます。

今年は図らずも作家たちとのつながりやFANTANIMA!の意義が深くなりそうです。
この展開にそれぞれが翻弄され、迷い(wonder)ながらも、平和という奇跡を信じて支えあいたいと思います。

今年のFANTANIMA!はマラソンになるかもしれません。
どうぞよろしくお願いいたします。

ファニマ族日本世話人代表
羽関チエコ

2022年のオールスターズ
中央後から時計回りに mandoragora-root、ジレンキナ、ブラソヴァ、コズィツカヤ、クリベンコ、スリズ、ワンダーファニマ、ダヴィデンコ、BakeNeko、コステツカ、ソロドヴァ、ミレツカ
ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、エストニア、日本の作家たちの作品。このファニマたちに国境はありません。

今回の開催に関連して、こちらのリンクもご覧頂ければ幸いです。
ウクライナの戦禍の日常を綴るエヴァ・カロの日記
2月28日に送られてきたロシアの作家のメール
ウクライナ作家を支援する募金サイト The Doll and Teddybear World for Ukraine




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